Bee Forest Clubハチ増やそうハチ宿プロジェクトミツバチ巣箱プロジェクト生物多様性

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Bee Forest Club
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このページは、NPO法人 ビーフォレスト・クラブを、もっと詳しく知りたい方のためのページです。

■もっと詳しく、クラブの方針

ビーフォレスト・クラブの概略

激減している野生のミツバチや花バチを増やす為に全国の森や農園に「ミツバチ巣箱」や「ハチ宿」を設置してビーフォレスト(繁殖環境)づくりを進めています。そして、モニタリング情報を基に「ビーフォレスト環境指標MAP」づくりに挑戦している自然環境保護団体です。※養蜂ではありません。

ポリネーターが棲みやすい環境を守るために
「ミツバチと森をつくる」ビーフォレスト・クラブは2015年に発足しました。
私たちの活動は、「日本ミツバチ」や「花バチ」などのポリネーターを増やす為の繁殖環境(ビーフォレスト)づくりを行い、その生息状況を調べてて、日本のポリネーターな現状を皆に伝える活動を行っています。ビーフォレスト・クラブの概略動画

日本ミツバチ達がいなくなると、森も山も死んでしまう
日本の森には、太古の昔から野生の「日本ミツバチ」や「花バチ」などのポリネーター(送粉者)が棲んでいます。四季折々の草木の花を受粉して、木の実や種子をつくり、動物たちを養い豊かな日本の森をつくってきました。
ところがポリネーターが棲めない環境が増加してきました。生息場所の減少や蜜源の減少、農薬問題、そして、外来のアカリンダニ症などのミツバチの感染症が全国に広がり野生の日本ミツバチは壊滅的な状態に陥っています。
もし、野生のポリネーターがいなくなったら「木を植えるだけで森はできない」のです。生物多様性や森の生態系が壊れ、川も海もその循環が途絶えて我々人間も死んでしまうと言われています。

■もし、「花バチ」がいなくなると、

「ちいさな昆虫達が、私たちの生活を支えています!」と聞いても、なかなかピンと来ないかも知れません。いま、昆虫と草木や動物、そして私たちとの繋がりが途切れようとしています。

①木を植えるだけで森は出来ません

地球上には、花を咲かせて種子を残す「被子植物」が約26万種います。
そして、その内の約90%が、昆虫や鳥などのポリネーター(送粉者)によって受粉してもらわないと木の実や種子(子孫)を残せない植物です。
ポリネーターの中には群れで活動するミツバチやマルハナバチと単独行動のハキリバチ、クマバチ、マメコバチなどがいます。そして、花の蜜と花粉を食料としながら受粉する昆虫のポリネーターを「花バチ」Beeと呼びます。
現在、花バチは世界に約22,000種いると報告されていて、日本にはその内の約400種生息しています。
※現在、地球上の生物種は約175万種いて、そのうち哺乳類が約6,000種、鳥類は約9,000種、昆虫は約95万種いると言われています。

②ミツバチと生態系

日本には、太古の昔から森に棲む野生の「ミツバチ」達がいます。
四季折々の草木の花を受粉して、木の実を成らします。それが餌となって熊やサルや鳥など動物たちを養います。そして、木の実を食べた動物たちは、移動しながら種子の入ったフンをして森を広げます。
やがて、生い茂る草木は、枯れると土になって堆積します。無数の菌類や微生物がその中で広がり生物多様性の森が生まれます。雨や陽射しの下、豊かな森の栄養分は、川から海へ運ばれ海藻やプランクトンなど多様な生物のいる海に変えていきます。
このように「豊かな森」は、農業や漁業など私たちの食糧供給に欠くことが出来ないサスティナブル(持続可能)な社会の必要条件と言えるでしょう。

③ サスティナブルな社会のために

私たちは、自然を過剰に利用し消費、奪うだけで何一つ返すことをしてこなかった。気候変動や環境問題は起きて当然だと思う。ビーフォレスト活動は、自分だけから、みんなの未来のための生物多様性や生態系を取り戻すためのお返し実践活動です。養蜂ではなく、花バチBeeを増やす活動です。

私たちはGDPや経済成長を競い合って、自然を過剰に利用し消費、奪うだけで何一つ返すことをして来ませんでした。その結果、気候変動や環境異変などの問題を生んでいます。このまむ進めば、私たちの生活や社会基盤は完全に壊れてしまいます。
ビーフォレスト・クラブは、生物多様性と生態系の保護や再生のために「花バチ」(訪花昆虫)に着目して「ミツバチ達と森をつくる」ビーフォレスト活動を続けています。

「ミツバチが森をつくる」生態系の意味

「ミツバチが森をつくる」と言うと〝どうしてミツバチが森をつくれるんですか?という素朴な質問が帰ってく来る場合があります。
その返答は、「ミツバチ」は草木から花の蜜や花粉をもらわないと生きていけません。
一方、森のほとんどの草木は、花を咲かせたときに受粉してもらわないと種子を残せないのでその世代で消えてしまいます。
「ミツバチと森」は、どちらか一方だけでは生きていけないのです。「共生」していると言うよりも「一体化」して大きな「ひとつの生命圏」をつくって生きていると捉えると理解できるのではないでしょうか。私たち人間も、その自然基盤に繋がって生きています。
「ミツバチ」をもう少し正確に言うと「ミツバチ達」(ポリネーター:送粉者)のことです。ここでは、草木の花に受粉する代表的なポリネーターとして「ミツバチ」を掲げています。

昆虫と植物の相性:ゼネラリストとスペシャリスト

●「花バチ」と植物との不思議な関係
群れで活動するミツバチは、地域や季節毎に咲く様々な花を訪れて受粉します。多様な草木の花に対応して仕事をしてくれる花バチを「ゼネラリスト」と呼んでいます。
また、野草の「サクラソウ」や「ツリフネソウ」の受粉の多くが「マルハナバチ」がおこなっている。このように花と形態と昆虫が採蜜するための機関との相性が合っていて、決まった花を受粉する花バチを「スペシャリスト」と呼んでいます。その他、スペシャリストには、ハチドリ媒花と言われるようなハチドリとの相性で決まった花が存在します。
進化の過程で、さまざまなポリネーターと植物との関係(生物多様性)が存在します。
※参考文献:鷲谷いづみ 2006:「サクラソウの目」地人書館

■野生のミツバチや花バチが激減しています

減少する要因と課題

自然の森の減少

●花バチの蜜源や棲み家:生息環境の減少
日本の森林面積率は、世界第三位と言われます。森林大国日本!といわれていますが、実際はどうでしょうか?
日本の森林は国土の2/3を占めます。1/3は天然林(自然林)で、1/3はスギやヒノキの人工林です。日本政府は1955年頃に、住宅需要に必要なスギやヒノキの栽培を推奨する拡大造林政策を全国で行いました。その時に多くの自然林が経済的な目的の人工林に代わりました。(人工林とは、畑のように山で木を栽培することです。)

●生物多様性や生態系が破壊された
スギやヒノキの人工林には、花バチの餌となる花の蜜や花粉がありません。ですから人工林には、昆虫はほとんどいません。木の実が出来ない森には動物も棲めません。木の実や虫を餌とする鳥もいなくなります。
スギやヒノキは常緑樹で、枯れ葉を落とさないので「土」をつくりにくいため、土壌生物も少ない山になっていきます。
自然林が1/3になってしまった日本の森林には、「日本ミツバチ」や「花バチ」などの野生生物も単純計算で1/3に減少してしまったのです。

アカリンダニなどのミツバチ感染症

ミツバチの感染病「アカリンダニ症」は2010年に長野県で最初に発見されました。2022年春現在、新型コロナのように全国に蔓延して「パンデミック状態」になっています。野生の日本ミツバチは、アカリンダニ症には耐性がないため死んしまいます。
ミツバチにしか感染しないアカリンダニ症は、西洋ミツバチの輸入時に国内に持ち込まれたと言われています。

西洋ミツバチ養蜂の影響

日本の野山には、野生の日本ミツバチや花バチ(約400種)が生息しています。
彼らは、草木の花が出す花の蜜や花粉を食べて生きています。ところが、そこに西洋ミツバチ養蜂家が沢山の巣箱を運んできて花の蜜を採集する養蜂を行います。
家畜の西洋ミツバチは、人間が蜜を採るために育てた採蜜専用昆虫です。群れの規模も飛行距離も、採蜜能力も野生の花バチを圧倒します。巣箱が置かれた野山では半径5キロの範囲で蜜が採集されます。
その結果、その地域の花バチの食料が激減するため、野生のミツバチや花バチも激減してしまうと言われます。
生物多様性や生態系は野生生物に依存するため、人工的な西洋ミツバチ養蜂は自然環境破壊の大きな要因となっているようです。

農薬の影響

神経を麻痺させて効果的に昆虫を駆除するネオニコチノイド系農薬が近年農業分野に広がっています。ところが農薬散布したところにミツバチがいた場合、カメムシなどと同じように死んでしまいます。
このことが農業と養蜂家との間で問題になっています。
特に海外の大規模集約型農業が盛んな地域では、飛行機での散布などその影響が大きく、ネオニコチノイド系農薬の使用中止へと発展しています。
また、ネオニコチノイド系農薬問題は、養蜂家からメディアを通じて情報発信されていますが、野生のミツバチや昆虫への影響については、ほとんどニュースにはなっていません。

駆除対象となっている

日本ミツバチなどの「花バチ」は、私たちの自然環境や農作物にとって有益であるのですが、スズメバチなどのように刺される・・・「ハチは怖い!」と一括りにされて一般に駆除対象になっています。
棲むところがなくて屋根裏や縁の下で巣を作る日本ミツバチは、「ハチは怖い!」ので駆除されています。
日本の教育は、被子植物や昆虫のことは個別に教えますが、昆虫が植物と相互に支え合って生きていることや、それが私たちにとってかけがえの無い仲間だという大切なことを教えていません。

気候変動の影響

例えば、毎年、山桜など春の花が一気に咲く頃に「異常な長雨が続いた場合」、雨に濡れた花は蜜を出しません。「花バチ」も蜜が取れないし受粉も出来ません。そうすると木の実が激減して鳥や動物たちの食料も減ってしまいます。ミツバチや花バチの食料も減ってしまいます。
共通するのは人間の仕業
日本ミツバチが減少する要因を見ていくと、どれもが人間の過剰な自然利用・消費によって自然を壊した結果です。生物多様性の喪失や気候変動は繋がっていて、人間の経済活動が起因しています。

誰も知らない大問題!

ビーフォレスト・クラブでは、ビーフォレストに営巣した日本ミツバチにアカリンダニ症などの疑いがある場合、死んだ働きバチを家畜保健衛生所に届けて検査をお願いするように通知しています。ところが、家畜保健衛生所の対応が都道府県によって異なるようです。

●都道府県毎に異なる家畜保健衛生所の対応
1)検査が無料なところ、有料なところがあります。
検査をすることによって感染を食い止めたい思いですが、届ける側にメリットは無いと思うのですが、なぜ、有料なのでしょうか?
2)わざわざ検査サンプルを持っていかなければならないところ、来てくれるところがあります。
3)発生データがいい加減
複数群が同じ症状であるのに、検査する1群を(一戸)としてカウントして「アカリンダニが発症しました!」と報告されています。農林水産省のデータでは、調査戸数と群数が異なっていました。都道府県によりカウントの仕方が異なるかも知れません。
4)検査しかやらない機関
たくさん死んで壊滅的な状況ですと説明しても、検査してその結果を通知するだけです。伝染病であるにもかかわらず、対応は畜産課に養蜂届を出している養蜂家に「アカリンダニが発症しました!」と報告するのみです。現状調査や広がらないような対策は何故か皆無です。
5)誰も分からない野生昆虫の実態
家畜保健衛生所の職員によると、西洋ミツバチ養蜂家は自分で処分してしまって届けない方が多いとのことです。また、日本ミツバチ養蜂家のほとんどは届けません。
アカリンダニ症に感染している実態と農林水産省の届出伝染病の発⽣⽉報データとは相当大きなの乖離があるようです。ですから、アカリンダニ症による野生の日本ミツバチの感染状況や減少状態を家畜保健衛生所や農林水産省、誰も把握できないのが実態です。
6)生物多様性や生態系が大切なのに
日本には、家畜の昆虫を調べようとする機関は存在しますが、野生昆虫の増減を調べる機関やモニタリング・システムはありません。しかし、農林水産省や環境省も生物多様性の喪失への対応を検討しようとしていますが、いったい何を根拠にしているのでしょうか?

関連情報:農林水産省HPには,「家畜の病気を防ぐために」
監視伝染病の発生状況のデータが公開されています
届出伝染病の発⽣⽉報(令和3年12⽉)【速報】
の7頁のアカリンダニ症の項目を見てみると、全国で17戸の届出があり、計30群の被害と記載されています。
表の項目をよく見ると「家畜の種類」の「蜜蜂」と書かれています。
以上のことで、生物多様性が対象とする野生昆虫は該当しないデータになっています。・・・なんと、野生の日本ミツバチのアカリンダニ症の実態は、誰も把握出来ないということになります。

激減要因の本質

野生ミツバチや花バチの激減要因は、どれもミツバチを減らすことを意図した結果ではありません。それは、自然資源を無制限に利用し消費した過剰な経済活動が原因です。しかし、気候変動や環境問題を目の当たりにした私たちは、今や自然資源が有限だと気づいています。
「ミツバチ達と森をつくる自然回復活動」を進めていると、様々な「誤解」という障壁に出合います。ミツバチは皆同じだと思っていたり、人工林を自然環境だと勘違いしたり、人工的な状態と自然な状態の違いが分からずに自然は人工的に作れると思ったり、個人や企業の利益のために公的な自然環境破壊を個人の権利として容認したりと、このような多くの誤解が、間違った発言や行動となり、結果的に自然破壊や混乱をもたらせています。
「客観性を失った思い込み」は、なかなか修正できません。自然環境活動に必要なのは、事実に基づいた正確な情報や知識の共有です。その前提がないと会話も政策や行動評価も成立しないのです。
日本国内で、ミツバチは本当に減っているのか?生物多様性の喪失は本当か?
私たちは、実践的なビーフォレスト活動と共に「誤解を解消する」活動も学びながら進めています。

ミツバチを守ろう・・・その前に、確かめてください!

木を植えるだけでは、森は出来ない!?

自然環境の回復活動の中でもオーソドックスな方法として、世界的にも広がっている木を植える(植樹)活動があります。しかし、活動の目的は木を植えることだけでは無く、それが育って自然の森を作ることだと思います。その森は、人々が常に植栽をして維持する森では無く、多様な生物が発生して生態系を形成して機能することにより、自然の循環によって自然増殖する森ではないでしょうか?

地球上には、約26万種の被子植物があり、その内の約90%が、昆虫や鳥などのポリネーター(送粉者)によって受粉してもらわないと木の実や種子(子孫)を残せない植物です。
人工林や果樹栽培、公園や庭造りとは異なる、このような森づくりには、ポリネーターを意識した地域にふさわしい植物の選択と共に、ポリネーターの生息環境も意識した森づくりを進める必要があると考えます。

日本は、世界第三位の森林大国!?

日本の森林の状況については、自然林の減少を参照下さい。

ここでは、「森林」という呼び方について誤解を解きたいと思います。
一般に「森づくり」を「森林づくり」と何故呼ばないのでしょう?
調べてみると、一般に「森」とは、自然発生的に形成されるものとあります。
そして、「林」とは、生やす(はやす)などから、人為的に栽培する場合に使われる言葉から派生したと言われます。スギ林、梅林など植林や果樹などは主に「はやし」を付ける場合が多いですね。
「森林」は、意味が異なる「森」と「林」の熟語になっています。

日本は、世界第三位の森林大国です。その内容は、1/3は「森」、1/3は「林」(人工林)という説明になります。自然の「森」が、2/3を占める森林大国ではないことを確認して下さい。

ちなみに、「林」(人工林)を「森林」と呼ぶと混乱するので、意味を理解しましょう。「森」は、自然発生的に生まれた自然環境です。「林」(人工林)とは、「畑」のように作物を栽培して収穫し、販売する目的があるモノです。

ハチは怖い!?

ハチは何でも怖い!と言って、嫌う人が沢山います。そして、ハチを目に敵のように直ぐに殺そうとします。ちょっと待って下さい!

日本では、「刺す昆虫」を総称して「ハチ」と呼んでいるように思われます。しかし、海外では「Bee」(ビー)と「Wasp」(ワスプ)の2つに分けて教えているようです。
「Bee」は、花の蜜や花粉を食べて草木の花に受粉する昆虫「花バチ」です。
ミツバチ以外にも、マルハナバチやクマバチ、ハキリバチ、マメコバチなどが「Bee」と呼ばれます。
「Wasp」は、「狩り蜂」と呼ばれて、針で他の昆虫を刺して殺したり、麻痺させたりして食べたり、体内に卵を産んだりして生きています。アシナガバチやスズメバチなどです。

「Bee」も「Wasp」も生態系にとって重要な役割を担っています。刺されるから怖い!から殺すのでは無く、一歩踏み込んで、役割や特徴を知ることによって、距離関係を意識し、状況に応じた対応を考えることが大切です。

日本人のミツバチのイメージ

貴方は「ミツバチ」と聞いてどのようなイメージを浮かべますか?

みなしごハッチ/マーヤ/森のプーさんとミツバチ/黄色と黒の縞模様のキャラクター/レンゲ畑や菜の花畑/レンゲやアカシヤの蜂蜜/白い服を着た養蜂家の風景/移動する養蜂家/などなどではありませんか?・・・実は、それらは全て外来種の「西洋ミツバチ養蜂」のイメージなんです。
日本人のほとんどの方のミツバチのイメージは、西洋ミツバチやその養蜂なんです。このため日本には「日本ミツバチ」がいることやそれを増やす為のビーフォレスト活動を説明しようとしても、通じない場合が生まれます。

「守るべきミツバチや自然のイメージ」を共有出来なければ実現は難しいです。このイメージの転化を図ることが、日本のミツバチや自然を守るためには必要なことだと感じています。

ミツバチはみんな同じ?

「日本人のミツバチのイメージ」で分かるように、ほとんどの方はミツバチは皆同じだと思っています。
日本には、太古の昔から森に棲んでいる野生の「日本ミツバチ」がいます。※大和ミツバチ研究所では、敢えて「大和ミツバチ」と呼んでいます。そして、もう1種類「西洋ミツバチ」がいます。

明治のはじめに、養蜂技術と共にアメリカから移入されました。それまでは、日本ミツバチの蜂蜜を採っていた方は、蜂蜜を採る場合は、まず自然のミツバチを捕獲する必要があります。野生の日本ミツバチは扱いにくいので、捕獲しないでも家畜で人工的に増やす事が出来る西洋ミツバチ養蜂に転換していきました。

昔は、蜂蜜が今以上に貴重なので、生産性の高い西洋ミツバチ養蜂は、一気に全国に広がり養蜂産業として発展していきました。
このように西洋ミツバチと日本ミツバチが日本には生息しています。それぞれ役割が違います。
家畜の西洋ミツバチは飼い主(養蜂家)のために働きます。方や野生の日本ミツバチはトンボや蝉のように私たちの自然の一部です。生物多様性や生態系に役立つのは、野生の日本ミツバチです。

ミツバチが消える世界的な危機?

ニュースで、「ミツバチが大量に疾走していなくなった」とか「農薬でミツバチが大量に死んでいる」など、「このままミツバチがいなくなると、大変なことになる!人類も滅ぶ!」とよく聞きますが、実は、これらも大きな誤解です。
海外のミツバチニュースのほとんどは、日本で伝える側も「Bee:家畜の西洋ミツバチ」と「Bee:野生の花バチ」を混同しています。
世界的に「家畜の西洋ミツバチ」は年々増えています。ニワトリなどと同じ様に人工的に増やせるので需要に応じて増えています。農薬などの影響で減る場合は、農家と養蜂家の問題なのです。

本当に減って困るのが「Bee:野生の花バチ」です。
日本では、Beeを「ミツバチ」と訳してしまうために、「花バチが減少して大変なことになる!」ことを「ミツバチが減少して大変なことになる!」と報道する場合が多いようです。
気候変動など環境異変を引き起こす要因であり、生物多様性の喪失の原因として「野生の花バチ」の減少が世界的な問題となっています。しかし、このような問題や課題が日本国内には正確に伝わっていないのが現状です。
ちなみに日本ミツバチも「野生の花バチ」の代表的な仲間です。

西洋ミツバチ養蜂の脅威

家畜の西洋ミツバチは養蜂の技術と共に、明治9年頃にアメリカから伝わり全国に広がっていきました。その頃には、生物多様性や生態系など自然環境や自然保護についての意識すらなかった時代です。それが時代変化と共に価値を見直さねばならない時代に来たのは、戦後に日本中に沢山のダムが出来たことと似ています。
豊かさを求めて高度成長経済社会が到来し、それに応えるように急速に自然利用や消費が進みました。しかし、過剰な経済活動が気候変動などの環境破壊を生み、成熟社会と言われる現在では失ったモノを見直す気運が高まっています。
生物多様性や生態系など自然環境をいかに取り戻せるかが大きな課題となってきたのです。

昆虫の世界では、西洋ミツバチ養蜂の自然環境への影響が問題になってきています。
1)西洋ミツバチ養蜂による野生「花バチ」の減少問題。
養蜂は、その地域の野生「花バチ」の食料となる花の蜜を奪ってしまいます。その結果「花バチ」がいなくなってしまう問題です。誰も議論しないのは何故でしょうか?生物多様性や生態系も守るには避けて通れない問題でしょう。
2)西洋ミツバチの輸入と同時に日本国内に持ち込まれたと考えられているミツバチ感染病のアカリンダニ症。2010年に長野県で発見されて、今では日本中に広がって日本ミツバチが激減する要因となっています。ところが、この事実をメディアも環境省も自治体も全く把握していません。大問題です。
3)分蜂放置問題
西洋ミツバチが分蜂して野生常態化している。日本ミツバチ巣箱に営巣したり野生化も見られる。(※野生化は、沖縄や小笠原諸島などの事例があります)

★上記の問題解決については、この事実が顕在化して、生物多様性や生態系レベルで議論が進むことが期待されます。

誰も知らないミツバチ感染病パンデミック!

2010年に長野県で最初に家畜保健衛生所に届けられたアカリンダニ症というミツバチの伝染病があります。20世紀初頭、イギリスで西洋ミツバチに発症し、ヨーロッパ全土に広がり壊滅的な影響を与えましたが、やがて耐性を持った西洋ミツバチが出現して全滅には至らなかったようです。しかし、その後保菌したまま世界中に広がった西洋ミツバチが、21世紀初頭に日本に輸入西洋ミツバチと共に入ってきたと考えられます。大和ミツバチ研究所においては、2015年頃には100群ほどの日本ミツバチを管理していたのが2016年までにアカリンダニ症などによって全滅しました。
近畿全土に広がり、その後全国に広がっていることが確認出来ました。

アカリンダニ症によって死んだ蜂群は、都道府県にある家畜保健衛生所に届けなければなりません。
奈良県では2021年までに5件ほどの届出しか有りません。その全てがNPO法人 ビーフォレスト・クラブ関連の届出です。日本ミツバチ養蜂家といわれる人たちもアカリンダニ症によって相当数死んでいくのを毎年確認しているにもかかわらずなぜか届けません。
西洋ミツバチにも感染する訳ですが、処分する指示を受けることが分かるために西洋ミツバチ養蜂家も届けないようです。
農林水産省の監視伝染病の発生状況を見ても、届出数は毎年拡大しているものの、実際の発症数の数百分、数千分の一程度しか届け出ていないと推測されます。そして、届出数につき1とカウントされるようですので、感染蜂群数はその数倍から数十倍に拡大すると思われます。大変な発症数に至っているはずなのですが、実際のデータは遙かにかけ離れています。また、この事実を検証する術がないのです。ですから自治体や農林水産省、環境省をはじめ、政府はこの実態を全く把握出来ていないのが実情です。

家畜保健衛生所は、「家畜」を対象としています。農林水産省の監視伝染病の発生状況の項目は「家畜の種類」と書かれており、西洋ミツバチが本来の対象となっています。日本ミツバチは野生昆虫です。
養蜂振興法の改定によって、日本ミツバチ養蜂をやる人の日本ミツバチを家畜と見なして家畜保健衛生所はカウントするようになりましたが・・・養蜂ではないビーフォレスト活動により営巣した日本ミツバチは家畜対象になりません。
どちらにせよ、日本には野生昆虫(日本ミツバチや花バチ)が何らかの病気や異変があっっても届ける先がないのです。また、異変があっても調査や対応する組織や法律もありません。

NPO法人 ビーフォレスト・クラブは、日本ミツバチや「花バチ」が減少状況を調査してビーフォレスト環境指標MAPなどの制作を進めています。日本ミツバチは減っているのか、どのような状況なのかを事実を確かめる必要があります。その実態を社会に知らしめるためです。本来は、自治体や政府が対応すべきことだと思うのですが・・・。

■昆虫を守ろう! 世界の潮流

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生物多様性や生態系