2019年6月3日
パンフレットの表紙は、太古の昔から日本に棲む「日本ミツバチ」(大和ミツバチ)です。
●ミツバチを守ろう! その前にあるミツバチの誤解を・・・
ミツバチが大量に死んで大変だ!
ミツバチを守ろう!
と言うけれど・・・ちょっとその前に!
ミツバチを守るための情報がたくさんきます
ここ1〜2年の間に、このようなお話をFacebookやネットの書き込みで沢山観るようになりました。
私の所にもこんな情報がありますよ!とか、ネオニコチノイド系農薬反対運動や寄付の呼びかけ、反対映画の上映会のお誘い、ミツバチを守る催し、イベントなどなど、情報が来ます。
ところが・・・。
ミツバチの誤解
多くの日本人の方は、ミツバチは皆、同じだと思っていませんか?
日本には、二種類のミツバチがいます。
「西洋ミツバチ」と「日本ミツバチ」です。
日本において西洋ミツバチは、明治時代の初めにアメリカから移入された家畜の昆虫です。西洋人が蜂蜜を沢山集めるミツバチを人工的に飼育、生産して増やしてつくってきた家畜昆虫です。家畜とは、卵を産ますための養鶏や、ホルスタインの乳牛と同じように人間のための昆虫や動物です。
西洋ミツバチは、外来種ですから日本では、人間(養蜂家)の管理下でないと飼育してはいけない昆虫です。逃げたりすると生態系を脅かすからです。
この家畜の西洋ミツバチを使って、世界中で蜂蜜を採る養蜂が行われています。
西洋ミツバチは、温室栽培のイチゴやメロンなどにも授粉昆虫(農業資材)として販売されて使用されています。
片や日本には大昔から日本の森に棲む野生の日本ミツバチがいます。
野原や森の草木に授粉して、日本の生態系をつくってきた昆虫です。
この日本ミツバチは売っていないので、野山で捕獲して日本ミツバチの養蜂をして蜂蜜を採っている方もいます。
野生の昆虫ですから、西洋ミツバチのように沢山蜂蜜を集めることはありませんし、比べると養蜂も難しいのが現状です。
ミツバチの行動や生態が違うので蜂蜜も味や内容も違います。(いずれ詳しく書きましょう)
以上のことから、ミツバチには二種類あることが分かりました。
●ミツバチが減少している原因
日本国内でミツバチが減っている原因を整理して観てみましょう。
①最も大きな原因は、自然林の減少。
日本ミツバチが棲んでいた自然林の森の減少です。日本の国策として自然林や農園や田んぼを杉やヒノキの人工林に変えてしまいました。
このような人工林には、餌が無いので虫や動物も棲めません。
これが日本の森林の半分もあるのです。
単純に日本ミツバチは、半分になってしまった!と推定できると思います。
②次に大きな原因は、ミツバチ感染病です。
2010年頃に届出されたミツバチ感染病(アカリンダニ症やサックブルード病)によって大量の日本ミツバチが死にました。
特に2014年後半から2016年に私が知る限りでも近畿地方の一部を除いて、それまでを100%とすると数%にまで激減して壊滅的な状況になりました。(日本ミツバチ養蜂家の取材)
私も、日本ミツバチを100群近く管理していましたが、ほぼ壊滅してしまいました。
全くいなくなった地域もたくさんあります。
2018年現在は、幾分盛り返してきている状況ですが、感染病はいつ発症するか分からない?!ので、予断を許しません。ミツバチ同士にしか遷らない病気だからです。
実は、ミツバチ感染病は、どこから来るのかについて西洋ミツバチが海外から持ってきたという説が有力です。アカリンダニなどの病気は昔から西洋にあった病気です。むろん日本には存在していませんでした。
ミツバチは群れで無いと移動しないので、船や飛行機で隠れて移動は出来ません。
病原菌をもったミツバチ(西洋ミツバチ)を輸入する段階で日本に入ったと考えられています。そして、養蜂を全国で行っているので感染したと考えられています。
2018年も全国でのアカリンダニ病発症の届出はますます増えて全国に広がっています。
ちなみに、養蜂家の資産である西洋ミツバチは、病気にかかった場合やその予防に抗生物質やダニ駆除剤を使って対応しているのが一般的です。
③西洋ミツバチ養蜂による日本ミツバチ生息域の減少
明治以降、西洋ミツバチ養蜂は、養蜂産業として全国に広がって行きました。
皆さんがミツバチとイメージするのは、悲しいかな西洋ミツバチです。
アニメの、みなしごハッチや、マーヤ・・・ブンブン〜ハチが飛ぶ〜の歌や、くまのプーさんなどで出てくるのもみんな西洋ミツバチです。
白い服を着て、蜂蜜をタラ〜りたらしている養蜂の情景を映像で見ますよね。
みんな西洋ミツバチなんです。
蜂蜜もレンゲやアカシヤなど、ひとつの花の名前が付いている蜂蜜は、全て西洋ミツバチの蜂蜜です。
日本ミツバチの蜂蜜は、野生ですから、森のいろいろな草木の花の蜜で出来ています。
日本ミツバチの蜂蜜を買うときに間違わないようにするには「日本ミツバチ」と書いていない蜂蜜は西洋ミツバチの蜂蜜と思うコトです。・・・紛らわしい書き方をしています。
西洋ミツバチは、日本ミツバチと比べて気性が荒い感じを受けます。また身体は1.2〜1.5倍ほど大きく、飛ぶ距離も2倍ほどの行動半径で、人間が選んでつくってきただけあって蜂蜜を採るのが上手い昆虫です。群れの数も日本ミツバチが5,000〜1万匹であるのに対して、3万〜5万匹ととても大きな、群れになります。
また、人間が容易に群れを増やすことが出来るのが西洋ミツバチの特徴です!
(西洋ミツバチ養蜂家は皆、知っているテクニックです)
西洋ミツバチが減っている原因
ネオニコチノイド系農薬の影響
現在さかんに反対運動等が行われて注目されてきているのがネオニコチノイド系の農薬によるミツバチへの被害です。
海外でのミツバチ大量死の問題は、西洋ミツバチの問題ですが、この農薬が原因だとして・・・使わせないようにとの反対運動が起こり・・・ヨーロッパやアメリカなどでは使用禁止になってきています。
日本でも西洋ミツバチにその影響があるとの調査結果が出ていますが、まだ中止になっていません。
ネオニコチノイド系の農薬は昆虫の脳を麻痺させてミツバチなどは巣に戻れなくなるという症状が出るそうです。
日本ミツバチも西洋ミツバチもその影響は考えられます。
私は、ミツバチやその他の昆虫や小鳥、また人間に対しても危険な農薬使用に強い疑問を持っていますが・・・日本全国の果樹栽培で使われている強烈な農薬について、ネオニコチノイド系の農薬だけに絞ってなぜ反対するのか・・・それも疑問です。
リンゴ栽培の木村さんが「奇跡のリンゴ」と言ったのは・・・農薬が人間に悪いという話でしたね。
そこで農薬使用の反対運動が起こっているのですが・・・。
農薬は農業地域に農家が撒きます。
その撒いた農薬でミツバチが死んで行く・・・。
ミツバチを守ろう!・・・農薬反対運動の問題
私が、ネオニコチノイド系の農薬によってミツバチ被害が問題になっている・・・テレビニュースについてFaceBook(2018年5月)に書いた内容を転載します。
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皆さん、ミツバチの大量死のニュースに敏感ですが、鵜呑みにしないで、もう少し冷静にその内容を見ましょう!
このニュースのミツバチは、農薬の被害者として報道されています。
このミツバチとは、西洋ミツバチのことです。
西洋ミツバチが農業に多大な影響を与えているとニュースの中では表現されています。
しかし、西洋ミツバチは、明治の初めに蜂蜜を取るためにアメリカから移入された外来種、家畜の昆虫です。
人工的に作られた農業資材のこのミツバチが死ぬと人間も死ぬ⁈
日本にはそれまでいなかったミツバチですよ。辻褄合わない、おかしくないですか?
また、そんな人工繁殖昆虫の生死で日本国民の生死が決まるのですか?それこそ問題ですね。
日本には、昔から野生の大和ミツバチがいます。それがいなくなると、生態系が壊れて日本の自然も農作物も大変になるのはうなずけます!
このようなニュースが流れて、ほとんどの方は、ミツバチ全体が同じ問題に直面して大変だと思ってしまう。
確かに、農薬の影響は皆んなにあります。
ただし、
西洋ミツバチによって在来種の大和ミツバチが減っていることについては誰も問題にしていない。
その場合、西洋ミツバチは加害者となります。
西洋ミツバチの分蜂群の放置です。野生化も進んでいます。
それなのに、ミツバチは皆、同じだと思っている。
これは、森の話をするときに、人工林を守らないと大変だ!と、叫んでいるのと同じようです。
人工林と自然林を同じように大切にすべきなのか?
問題のステージが違うと思います。
西洋ミツバチや人工林の問題は、人間の経済活動の話です。それが他の経済活動が原因で起きているせめぎ合いの問題です。
それと、恩恵を皆んなに及ぼす自然林や野生のミツバチと、同じではありません。経済活動とは違うからです。
同じように扱う事が、問題なのです。
ビーフォレスト活動をしていて、一番大変な事、それは、日本国内にいるミツバチが皆同じだと、ほとんどの国民が思っている事です。
記者や映像作家、放送する側すら理解していない!
また、グリーンピースですら勘違いしているという現実です!
種の問題も、ミツバチの問題も、森や環境問題も、どの情報が経済問題か、自然環境問題かなど、正確に判断するのが難しい状況になっています。
事実を確認しながら、判断しましょう。
ご注意
この動画をシェアする場合、私のテキストも一緒にシェアお願いします。
誤解を広めることこそ危険です!
ミツバチの誤解が、自然を壊す!?
上記の・・・記者や映像作家、放送する側すら理解していない!
また、グリーンピースですら勘違いしているという現実です!
について、補足しておきます。
一般に全国に公開されているミツバチを守ろう!という内容の映画の監督は、ある方の勧めで、大和ビーフォレスト・クラブのミツバチ(日本ミツバチ)の不思議展という「ミツバチと森をつくる」活動の詳細展示を見に来られて、ビーフォレスト・セミナーにも参加されました。主人公の、「ミツバチの保護活動家」という西洋ミツバチ養蜂家の方は、来られませんでした。
その時、映画はほぼ出来上がっていたようです。
その監督は、驚いたことに日本にいるミツバチは、西洋ミツバチだけだと思っていたというのです。日本ミツバチのことを知らなかったと言われていました。多分、主人公の養蜂家の方も同様だと思います。でなければ、農家も無い地域や、日本中の森に棲む野生のミツバチの死因が、全てネオニコチノイド系農薬!?とは断定できないからです。
私と会ったことで、日本ミツバチの存在を知ったにもかかわらず、映画は、あたかも西洋ミツバチ主体の映像に、日本ミツバチの養蜂家や日本ミツバチの映像が挿入されて全てのミツバチ保護という矛盾した内容で突っ走っています!?
経済活動としての人工的なの西洋ミツバチ養蜂と、自然の生態系を守っている日本ミツバチは明らかに違います。何を守ろうとするのか?活動の目的が違います。
偏った解釈を訂正・修正もしないで、自然の生態系が大切だと思う善意の第三者を巻き込んで良いのでしょうか?
また、グリーンピースのネオニコチノイド系農薬反対キャンペーンも主旨は理解できるのですが、ミツバチについての偏った理解を元に展開されているように見えます。
西洋の自然環境や合理的な農業方法や考え方と、日本の自然環境や農業についての伝統的な考え方、また、在来種の日本ミツバチがいる日本国内の事情とは違うのではないでしょうか。
ミツバチは大切な昆虫です。
ミツバチがいないと生活が大変だ!という前に、
日本ミツバチと西洋ミツバチの違いを明らかにして、行うべきでしょう。
・ミツバチ(二種類)を日本国内において何故、保護すべきなのか、守らねばならないのか?
・ミツバチの減少原因は、ネオニコチノイド系の農薬だけなのか?
・日本国内で何故、ネオニコチノイド系の農薬だけを優先して反対するのか?
・ネオニコチノイド系の農薬を止めれば国内のミツバチは復活できるのか?
・具体的活動方法とその実績は何か?
・ミツバチが大量に死んで大問題であれば、なぜ一部の者達では無く、日本の養蜂組協会や関係者が声高に訴えないのか?
・日本にいるミツバチは、みんな同じと思っている人々を相手に誤解や混乱は生じないか?
私には、ミツバチを守るための映画も、キャンペーンも善意の第三者をミスリード(錯覚と誤解を生む)しているように見えるのです。ミツバチの保護活動を行っている人々にとって、ミツバチや蜂蜜、自然生態系などの偏った理解から新たな誤解を生み、それが自然を壊していくのではという危機感を持っています。
「ミツバチの誤解」として敢えて、少し踏み込んで今回の内容を書きました。
また、ビーフォレスト・クラブでは、ミツバチ誤解や、自然生態系や生物多様性、そして、議論だけでは無く、具体的にミツバチを増やす活動を行っています!
無料観察会やセミナー、体験会などを行っています。
本当にミツバチを守ろう!と、思われる方興味のある方は、参考にして下さい。