Bee Forest Club生物多様性

「マタギ」に聞くミツバチと熊の共生

Bee Forest Club
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ビーフォレスト活動の課題のひとつに、日本ミツバチが熊に襲われる問題があります。
巣箱を設置して日本ミツバチを増やす環境づくりに参加したいけど、熊がやって来るので村人から反対されそうなので躊躇される方がおられます。
そこで、どのような対策が可能か、熊に一番詳しい熊猟師「マタギ」の猪俣昭夫(1950年生まれ)さんを2022年の5月下旬に福島県の金山町を訪ねました。3m以上の積雪のある厳しい冬から一気に爆発したかのような新緑が村を包み、想像以上に強い生命の息吹を感じました。

猪俣さんを知ったのは「奥会津最後のマタギ」の本からです。その本には、ミツバチと熊が森を作る・・・という表現があって「ミツバチ達と森をつくる」ビーフォレスト活動の自然観と非常に似ていたのです。直感的に連絡をして、冬の猟期が終わるのを待って訪ねました。

気さくな猪俣さんに山を案内してもらいながら金山町や森やミツバチ、熊や鹿など変化していく村や自然の話、生活環境など、たくさんの話を交わしあっという間の二日でした。

全国のもりや農園で活動するビーフォレスト活動では、幾つかの営巣巣箱が熊によって襲われてミツバチの巣と蜂蜜が舐め尽くされることが数回ありました。ビーフォレスト・クラブでは、それを被害とは捉えていません。自然の森にあるミツバチの巣が飢えた熊に食べられることは自然の出来事です。
ただ、全ての営巣箱が同様に食べられるとミツバチがなかなか増えません。いくつかの営巣箱が残るようにするための方策が「ミツバチや熊と森」にとっても必要だと考えているのです。

猪俣さんも幾つかの日本ミツバチを管理しておられて、熊から守るために様々な工夫をされていました。
例えば、杉林の中に杉木立を利用して4mほどの高床を作りその上に営巣した巣箱を設置しました。杉の木には熊が登れないようにトタンを巻いて作った日本ミツバチの保護場所。しかし、それでも熊和登ってきたそうです。
また、熊を近付けないようにラジオや録音テープなどで音楽を流しても、最初は効果的ですが二度目三度目は効かない。賢い熊には人間の意図が分かるようです。
いろいろなことを試しているようですが、効果的な方法の一つに、営巣した巣箱を民家のそばに移動することです。地域によって異なりますが、山深く自然の多い地域では、熊は人を警戒して民家に近寄れないのです。
また、効果的な方法として、営巣箱の周りを釘やビスをいっぱい刺した板で囲むことです。
熊の足の裏は、猪や鹿と違って蹄ではなく肉球です。前足にも後足にも柔らかい指の肉球が五個並んでいます。釘などに刺さるので近寄れないのです。
それに電気柵を巣箱の近くに取り付ければ、より効果的な防御になるようです。
ビーフォレスト活動でも試したいと思います。

開発者募集します!
ビーフォレスト・クラブでは、それ以外の方法も開発を進めたいと考えています。
センサーとレーザー光の照射、音の変化、光の変化などなど、容易に巣箱に設置できる熊よけ装置の開発も進めていく予定です。
共に参加して開発してくださる方や企業、研究者を求めています。よろしくお願いします。

マタギの役割
猪俣さんは、マタギの役割についてオオカミを例に語ってくれました。
昔は、日本中にオオカミがいたのですが家畜を襲われたり危険だと思って、人間が絶滅させてしまった。その結果、日本中で鹿などの動物が増え過ぎて作物や植林、果樹の苗が食べられて「鹿害」と呼ばれる問題が起きています。熊も危険だから駆除すことが当然のようにメディアでも報じられています。
オオカミのように人間に邪魔なモノは次々と殺していくのです。

猪俣さんは、オオカミの代わりを猟師として担っていると言います。鹿が増えすぎないような調整役です。そして、猟銃を使うことで熊に人間の怖さを知らせる事が大切だと語ります。そうすれば人里に近寄らなくなるからです。
ハチも熊や鹿、スズメバチも皆んな邪魔だから危険だから駆除をする。儲かるからやるという個人の目先の利益だけで自然環境に対応する権利はありません。
生物多様性や豊かな森が、私たちに何をもたらせてくれているか「生態系」を意識した対策が必要です。